芥川賞と直木賞2023下半期(第170回)
の候補作品が2023年12月14日(木)に発表されました!
今回は、芥川賞と直木賞2023下半期の候補作品と著者について、また発表日時についてもお伝えします。
第170回芥川龍之介賞候補作品について
第170回芥川龍之介賞の候補作品は以下の5作品です。
- 安堂ホセ「迷彩色の男」(文藝 秋季号)
- 小砂川チト「猿の戴冠式」(群像1 2月号)
- 九段理江「東京都同情塔」(新潮 12月号)
- 三木三奈「アイスネルワイゼン」(文學界 10月号)
- 川野芽生「Blue」(すばる 8月号)
安堂ホセさん、小砂川チトさん、九段理江さん、三木三奈さんは2回目、川野芽生さんは初めてのノミネートです。
安堂ホセ「迷彩色の男」
単行本は、2023年9月に発売されています。
候補作品「迷彩色の男」の内容については、以下のように紹介してありました。
ブラックボックス化した小さな事件がトリガーとなり、混沌を増す日常、醸成される屈折した怒り。快楽、恐怖、差別、暴力。折り重なる感情と衝動が色鮮やかに疾走する圧巻のクライム・スリラー。
引用元 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309031415/
著者の安堂ホセさんについてはこちらをどうぞ。
https://flowerlove.jp/ando-jose
小砂川チト「猿の戴冠式」
単行本は 2024年01月19日頃に講談社から発売予定です。
「猿の戴冠式」については、以下のように紹介してありました。
いい子のかんむりは/ヒトにもらうものでなく/自分で/自分に/さずけるもの。
ある事件以降、引きこもっていたしふみはテレビ画面のなかに「おねえちゃん」を見つけ動植物園へ行くことになる。言葉を機械学習させられた過去のある類人猿ボノボ”シネノ”と邂逅し、魂をシンクロさせ交歓していく。
――”わたしたちには、わたしたちだけに通じる最強のおまじないがある”。”女がいますぐ剥ぎ取りたいと思っているものといえば、それは〈人間の女の皮〉にちがいなかった。女は人間の〈ふり〉をして、ガラスの向こう側にたっている”
”女とシネノは同じだった。シネノのほうはそのふるまいこそ完璧ではあったけれど、それでも猿の〈ふり〉をして、あるいは猿の〈姿をとって〉、こちら側にいる”
ねえ、なにもかもがいやなかんじなんでしょう。ちがう?
著者の小砂川チトさんについてはこちらをどうぞ。
https://flowerlove.jp/kosagawa-chito
九段理江「東京都同情塔」
単行本は2024年01月17日頃に新潮社から発売予定です。
候補作品「東京都同情塔」については、以下のように紹介してありました。
ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながら、パワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。
九段理江さんについては、こちらをどうぞ。https://flowerlove.jp/kudan-rie-profile
三木三奈「アイスネルワイゼン」
単行本は2024年01月12日に文藝春秋から発売予定です。
内容については以下のように紹介されていました。
32歳のピアノ講師・琴音は、さいきん仕事も恋人との関係もうまく行っていません。そんな中、ひさびさに連絡をとった友人との再会から、事態は思わず方向へと転がってきます――。静かな日常の中にひそむ「静かな崖っぷち」を描き、読者の心をゆすぶります。
川野芽生「Blue」
単行本は2024年1月に集英社から発売されました。
候補作品「Blue」については以下のように紹介してありました。
「ほんものの人間と見なされなくても、神様に認められなくても、人魚姫はやっぱり海の上を目指しただろうか」
高校の演劇部で『人魚姫』を翻案したオリジナル脚本『姫と人魚姫』を上演することになり、人魚姫役の真砂(まさご)は、個性豊かなメンバーと議論を交わし劇をつくりあげていく。数年後、大学生になった当時の部員たちに再演の話が舞い込むが、「女の子として生きようとすることをやめてしまった」真砂は、もう、人魚姫にはなれなくてーー。
自分で選んだはずの生き方、しかし選択肢なんてなかった生き方。
社会的規範によって揺さぶられる若きたましいを痛切に映しだす、いま最も読みたいトランスジェンダーの物語。引用元 https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-771866-9
著者、川野芽生さんは東京大学大学院総合文化研究科在籍中の方で、歌人でもあられます。
第170回直木三十五賞候補作について
第170回直木三十五賞候補作品は以下の6作です。
- 加藤シゲアキ「なれのはて」
- 河崎秋子「ともぐい」
- 嶋津輝「襷がけの二人」
- 万城目学「八月の御所グラウンド」
- 村木嵐「まいまいつぶろ」
- 宮内悠介「ラウリ・クースクを探して」
加藤シゲアキ「なれのはて」
候補作品「なれのはて」は以下のように紹介されていました。
一枚の不思議な「絵」から始まる運命のミステリ。
生きるために描く。それが誰かの生きる意味になる。ある事件をきっかけに報道局からイベント事業部に異動することになったテレビ局員・守谷京斗(もりや・きょうと)は、異動先で出会った吾妻李久美(あづま・りくみ)から、祖母に譲り受けた作者不明の不思議な絵を使って「たった一枚の展覧会」を企画したいと相談を受ける。しかし、絵の裏には「ISAMU INOMATA」と署名があるだけで画家の素性は一切わからない。二人が謎の画家の正体を探り始めると、秋田のある一族が、暗い水の中に沈めた業に繋がっていた。
1945年8月15日未明の秋田・土崎空襲。
芸術が招いた、意図しない悲劇。
暴走した正義と、取り返しのつかない後悔。
長年秘められてきた真実は、一枚の「絵」のミステリから始まっていた。戦争、家族、仕事、芸術……すべてを詰め込んだ作家・加藤シゲアキ「第二章」のスタートを彩る集大成的作品。
「死んだら、なにかの熱になれる。すべての生き物のなれのはてだ」
引用元 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000380814
著者の加藤シゲアキさんについては、こちらをどうぞ。
https://flowerlove.jp/kato-shigeaki-naokisyo
河崎秋子「ともぐい」
候補作品「ともぐい」については、以下のように紹介されていました。
明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……すべてが運命を狂わせてゆく。人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河崎流動物文学の最高到達点!!
著者の河崎秋子さんは北海道で羊飼いをしながら小説を書いておられるすごい方です。
6年前に河崎さんのご実家に伺ったことがありますが、本当に謙遜で丁寧な方でした。
河崎秋子さんについてはこちらをご覧ください。
https://flowerlove.jp/kawasaki-akiko
嶋津輝「襷がけの二人」
候補作品「襷がけの二人」については、以下のように紹介されていました。
裕福な家に嫁いだ千代と、その家の女中頭の初衣。
「家」から、そして「普通」から逸れてもそれぞれの道を行く。「千代。お前、山田の茂一郎君のとこへ行くんでいいね」
親が定めた縁談で、製缶工場を営む山田家に嫁ぐことになった十九歳の千代。
実家よりも裕福な山田家には女中が二人おり、若奥様という立場に。
夫とはいまひとつ上手く関係を築けない千代だったが、
元芸者の女中頭、初衣との間には、仲間のような師弟のような絆が芽生える。やがて戦火によって離れ離れになった二人だったが、
不思議な縁で、ふたたび巡りあうことに……幸田文、有吉佐和子の流れを汲む、女の生き方を描いた感動作!
万城目学「八月の御所グラウンド」
候補作品の「八月の御所グラウンド」については、以下のように紹介されていました。
死んだはずの名投手とのプレーボール
戦争に断ち切られた青春
京都が生んだ、やさしい奇跡女子全国高校駅伝――都大路にピンチランナーとして挑む、絶望的に方向音痴な女子高校生。
謎の草野球大会――借金のカタに、早朝の御所G(グラウンド)でたまひで杯に参加する羽目になった大学生。京都で起きる、幻のような出会いが生んだドラマとは--
今度のマキメは、じんわり優しく、少し切ない
青春の、愛しく、ほろ苦い味わいを綴る感動作2篇
村木嵐「まいまいつぶろ」
候補作品「まいまいつぶろ」については、以下のように紹介されていました。
暗愚と疎まれた将軍の、比類なき深謀遠慮に迫る。口が回らず誰にも言葉が届かない、歩いた後には尿を引きずった跡が残り、その姿から「まいまいつぶろ(カタツムリ)と呼ばれ馬鹿にされた君主。第九代将軍・徳川家重。しかし、幕府の財政状況改善のため宝暦治水工事を命じ、田沼意次を抜擢した男は、本当に暗愚だったのか――? 廃嫡を噂される若君と後ろ盾のない小姓、二人の孤独な戦いが始まった。
第12回 日本歴史時代作家協会賞作品賞、第13回 本屋が選ぶ時代小説大賞 受賞。
引用元 https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344041165/
宮内悠介「ラウリ・クースクを探して」
候補作品「ラウリ・クースクを探して」については、このように紹介されていました。
1977年、エストニアに生まれたラウリ・クースク。コンピュータ・プログラミングの稀有な才能があった彼は、ソ連のサイバネティクス研究所で活躍することを目指す。だがソ連は崩壊し……。歴史に翻弄された一人の人物を描き出す、かけがえのない物語。
引用元 https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=24352
著者、宮内悠介さんについてはこちらをどうぞ。
https://flowerlove.jp/miyautiyusuke
芥川賞・直木賞2023下半期の発表日時について
芥川賞と直木賞2023下半期の発表は2024年1月17日(水)に、東京都内で行われる予定です。
選考会は16時より始まるようなので、受賞作発表と受賞者記者会見は16時以降になります。
芥川賞の選考委員は、小川洋子さん、奥泉光さん、川上弘美さん、島田雅彦さん、平野啓一郎さん、堀江敏幸さん、松浦寿輝さん、山田詠美さん、吉田修一さんの9名です。
直木賞の選考委員は、浅田次郎さん、角田光代さん、京極夏彦さん、桐野夏生さん、髙村薫さん、林真理子さん、三浦しをんさん、宮部みゆきさんの8名です。
こちらのニコニコ生放送で中継があります。
開演16時とありますが、例年、発表はこれより遅れます。
審査が終了し、受賞者が決まったら、発表と受賞者記者会見を見ることができます。
候補者はだいたい、受賞したら会見場に来れるように近くに待機されているようですが、遠くに住んでおられたり、どうしても都合が悪い時はオンラインになることもあります。
贈呈式は、8月下旬に東京都内で行われます。
芥川賞の受賞作品は、2月9日(金)発売の『文藝春秋』3月号に全文と選評が掲載されます。
また直木賞の受賞作品は、2月22日(木)発売の「オール讀物」3・4月合併号に作品の一部と選評が掲載されます。
楽しみですね!