待っていた芥川賞と直木賞2022上半期の候補作が発表されました!
日本文学振興会のツイッターで、今日、2022年6月17日(金)午前5時に発表されました。
今回は、芥川賞と直木賞2022上半期の候補作と著者について、また発表日時についてもお伝えします。
【追記】
第167回芥川賞は高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」、直木賞は窪美澄さんの「夜に星を放つ」が受賞しました!
第167回芥川龍之介賞候補作は?
第167回芥川龍之介賞の候補作は以下の5作です。
●鈴木涼美「ギフテッド」(文學界6月号)
●高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」(群像1月号)
●年森瑛「N/A」(文學界5月号)
●山下紘加「あくてえ」(文藝夏季号)
何と、今回は芥川賞ができて以来、候補作が全部、女性作家によるものです。
高瀬隼子さんは2回目のノミネート、他4人は初めて候補に選ばれました。
小砂川チト「家庭用安心坑夫」
単行本は、2022年7月に講談社から刊行されました。
候補作「家庭用安心坑夫」の内容については、以下のように紹介してありました。
日本橋三越の柱に、幼いころ実家に貼ったシールがあるのを見つけたところから物語は始まる。狂気と現実世界が互いに浸食し合い、新人らしからぬ圧倒的筆致とスピード感で我々を思わぬところへ運んでいく。
誌上発表後、新聞各紙絶賛、話題沸騰の受賞作を緊急刊行!
第65回群像新人文学賞受賞作(選評より)
語り手、そして読む人の立つ足下が揺るがされる――柴崎友香
絶望的成長小説である――町田康
最も文章の水準、小説技術の水準の高い作品だった――松浦理英子引用元 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065288573
著者の小砂川チトさんについてはこちらをどうぞ。

鈴木涼美「ギフテッド」
単行本は2022年07月12日頃に発売予定です。
元AV女優で元新聞記者という異色の経歴を持つ鈴木涼美さんの芥川賞候補入りは大きな話題になっています。
候補作「ギフテッド」は、以下のように紹介されていました。
『「AV女優」の社会学』『体を売ったらサヨウナラ』などで知られる鈴木涼美の、衝撃的なデビュー中編。歓楽街の片隅のビルに暮らすホステスの「私」は、重い病に侵された母を引き取り看病し始める。母はシングルのまま「私」を産み育てるかたわら数冊の詩集を出すが、成功を収めることはなかった。濃厚な死の匂いの立ち込める中、「私」の脳裏をよぎるのは、少し前に自ら命を絶った二人の女友達のことだったーー「夜の街」の住人たちの圧倒的なリアリティ。そして限りなく端正な文章。新世代の日本文学が誕生した。
引用元 https://books.rakuten.co.jp/rb/17191950/
鈴木涼美さんについてはこちらをどうぞ。

高瀬隼子「おいしいごはんが食べられますように」
候補作「おいしいごはんが食べられますように」については、以下のように紹介してありました。
職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。ままならない人間関係を、食べものを通して描く傑作。心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。
引用元 https://item.rakuten.co.jp/neowing-r/neobk-2722263/
高瀬隼子さんについては、こちらをお読みください。

年森瑛「N/A」
候補作「N/A」は年森瑛さんのデビュー作です。
単行本は2022年06月22日頃に発売予定です。
内容については以下のように紹介されていました。
選考会で異例の満場一致!
第127回文學界新人賞受賞作松井まどか、高校2年生。
うみちゃんと付き合って3か月。
体重計の目盛りはしばらく、40を超えていない。
ーー「かけがえのない他人」はまだ、見つからない。優しさと気遣いの定型句に苛立ち、
肉体から言葉を絞り出そうともがく魂を描く、圧巻のデビュー作。
詳しいあらすじとネタバレについては、こちらをどうぞ。

著者の年森瑛(としもり あきら)さんは公務員をしながら「N/A」を執筆されました。
年森瑛さんについては、こちらをお読みください。

山下紘加「あくてえ」
候補作「あくてえ」は祖母の介護に振り回される19歳の女性を描いています。
単行本は2022年07月19日頃に発売予定です。
著者、山下紘加さんは2015年に「ドール」で第52回文藝賞を受賞し、作家デビューを果たしました。

第167回直木三十五賞候補作は?
第167回直木三十五賞候補作は以下の5作です。
●窪美澄「夜に星を放つ」(文藝春秋)
●呉勝浩「爆弾」(講談社)
●永井紗耶子「女人入限」(中央公論新社)
●深緑野分「スタッフロール」(文藝春秋)
河﨑秋子「絞め殺しの樹」
候補作「絞め殺しの樹」、とても怖いタイトルですが、内容は以下のように紹介されていました。
あなたは、哀れでも可哀相でもないんですよ
北海道根室で生まれ、新潟で育ったミサエは、両親の顔を知らない。昭和十年、十歳で元屯田兵の吉岡家に引き取られる形で根室に舞い戻ったミサエは、ボロ雑巾のようにこき使われた。しかし、吉岡家出入りの薬売りに見込まれて、札幌の薬問屋で奉公することに。戦後、ミサエは保健婦となり、再び根室に暮らすようになる。幸せとは言えない結婚生活、そして長女の幼すぎる死。数々の苦難に遭いながら、ひっそりと生を全うしたミサエは幸せだったのか。養子に出された息子の雄介は、ミサエの人生の道のりを辿ろうとする。数々の文学賞に輝いた俊英が圧倒的筆力で贈る、北の女の一代記。
「なんで、死んだんですか。母は。癌とはこの間、聞きましたが、どこの癌だったんですか」
今まで疑問にも思わなかったことが、端的に口をついた。聞いてもどうしようもないことなのに、知りたいという欲が泡のように浮かんでしまった。
「乳癌だったの。発見が遅くて、切除しても間に合わなくてね。ミサエさん、ぎりぎりまで保健婦として仕事して、ぎりぎりまで、普段通りの生活を送りながらあれこれ片付けて、病院に入ってからはすぐ。あの人らしかった」(本文より)引用元 https://books.rakuten.co.jp/rb/16938956/
河﨑秋子さんは北海道で羊飼いをしながら小説を書いておられる方です。
河崎秋子さんについてはこちらをお読みください。

窪美澄「夜に星を放つ」
候補作「夜に星を放つ」については、以下のように紹介されていました。
かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集。
コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との関係、30歳を前に早世した双子の妹の彼氏との交流を通して、人が人と別れることの哀しみを描く「真夜中のアボカド」。学校でいじめを受けている女子中学生と亡くなった母親の幽霊との奇妙な同居生活を描く「真珠星スピカ」、父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさを描く「星の随に」など、人の心の揺らぎが輝きを放つ五編。
引用元 https://books.rakuten.co.jp/rb/17113155/
窪美澄さんについてはこちらをご覧ください。

呉勝浩「爆弾」
候補作「爆弾」については、以下のように紹介されていました。
東京、炎上。正義は、守れるのか。
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。引用元 https://books.rakuten.co.jp/rb/17078164/
呉勝浩さんについてはこちらをどうぞ。

永井紗耶子「女人入限」
候補作「女人入限」については、以下のように紹介されていました。
大注目の作家が紡ぐ、知られざる鎌倉時代を生きた女性たちの物語。
「大仏は眼が入って初めて仏となるのです。男たちが戦で彫り上げた国の形に、玉眼を入れるのは、女人であろうと私は思うのですよ」
建久六年(1195年)。京の六条殿に仕える女房・周子は、宮中掌握の一手として、源頼朝と北条政子の娘・大姫を入内させるという命を受けて鎌倉へ入る。気鬱の病を抱え、繊細な心を持つ大姫と、大きな野望を抱き、それゆえ娘への強い圧力となる政子。二人のことを探る周子が辿り着いた、母子の間に横たわる悲しき過去とはーー。
「鎌倉幕府最大の失策」と呼ばれる謎多き事件・大姫入内。
その背後には、政治の実権をめぐる女たちの戦いと、わかり合えない母と娘の物語があった。
引用元 https://books.rakuten.co.jp/rb/17082505/
著者、永井紗耶子さんは、元新聞記者の時代小説家です。

深緑野分「スタッフロール」
戦後ハリウッドの映画界でもがき、爪痕を残そうと奮闘した特殊造形師・マチルダ。
脚光を浴びながら、自身の才能を信じ切れず葛藤する、現代ロンドンのCGクリエイター・ヴィヴィアン。
CGの嵐が吹き荒れるなか、映画に魅せられた2人の魂が、時を越えて共鳴する。特殊効果の“魔法”によって、“夢”を生み出すことに人生を賭した2人の女性クリエイター。その愛と真実の物語。
引用元 https://books.rakuten.co.jp/rb/17070656/
深緑野分さんは、お名前から男性と間違われることが多いですけど、女性作家さんです。

芥川賞・直木賞2022上半期の発表日時について
芥川賞と直木賞2022上半期の発表は2022年7月20日(水)に、築地「新喜楽」で行われる予定です。
発表と受賞者記者会見は16時以降になります。
こちらのニコニコ生放送で中継があります。

開演16時とありますが、例年、発表はこれより遅れます。
審査が終了し、受賞者が決まったら、発表と受賞者記者会見を見ることができます。
候補者はだいたい、受賞したら会見場に来れるように近くに待機されているようですが、遠くに住んでおられたり、どうしても都合が悪い時はオンラインになることもあります。
贈呈式は、8月下旬に東京都内で行われます。
コロナ禍以前は、発表は18時以降でしたが、最近は14時に選考委員会が開かれ、16時頃に発表があるようになりました。
また芥川賞受賞作は、8月10日(水)発売の「文藝春秋」9月号に全文と選評が掲載される予定です。
直木賞受賞作は、8月22日(月)発売の「オール讀物」9・10月合併号に作品の一部と選評が掲載されるそうです。
第166回芥川賞を振り返る
さて、前回、第166回芥川龍之介賞について振り返ってみたいと思います。
第166回芥川賞は砂川文次さんの「ブラックボックス」が受賞しました。
砂川文次さんは地方公務員をしながら小説を書いておられます。

砂川文次さんは元自衛官という経験をご自分生かして生かしておられます。
芥川賞の発表後の会見で、初めてお顔を見ることができました。
第166回直木賞を振り返る
第166回直木三十五賞を受賞したのは、今村翔吾さんの「塞王の楯」と米澤穂信さんの「黒牢城」でした。
どちらの作品も時代物で大きく話題になりました。
今村翔吾さんについてはこちらをどうぞ。

受賞作「塞王の楯」についてはこちらです。

米澤穂信さんについてはこちらをお読みください。
