皆
さん、こんにちは。
8月になり、学生の皆さんは夏休みも後半に入りますね。
そろそろ、宿題のことも考えなければいけませんよね。
さて、読書感想文は書きましたか?
まだ書いていないなら、中学生におすすめの一冊がありますよ。
それは、青少年読書感想文全国コンクールの課題図書になった「一〇五度」(あすなろ書房)です。
今回は、読書感想文を書く中学生のために、「一〇五度」のあらすじや読書感想文の書き方、それから作者、佐藤まどかさんの他の小説についても紹介しますね。
こちらもおすすめですよ。
「一〇五度」のあらすじ
それではまず、「一〇五度」のあらすじについてまとめておきます。
主人公は、東京都内の中高一貫校に編入してきた中学3年生、真(しん)。
真の家族は、怖い父親と優しい母親、昔は腕のいいイス職人でしたが、今は左半身が不自由なじいちゃん、そして体が弱く学校を休みがちで、勉強ができない小学4年生の弟、力(りき)の4人です。
真はイスのデザインが大好きで、将来はクリエイターになりたいと思っていますが、父親は真に一流大学に進学し、大きな会社に就職して欲しいと思っています。
真は編入した中学校で早川梨々(はやかわ りり)という同級生に出会います。
梨々は女子なのに、学年で一人だけスラックスで登校する変わり者で、周りからは「スラカワ」と呼ばれています。
しかし真と梨々はとても気が合い、2人で、全国学生チェアデザインコンペに応募することにしました。
実は、梨々はじいちゃんのライバル会社だったセーディアの創業者の孫娘で、イスに関する知識が深く、中学生なのにモデラー(製作者)としての腕も持っていました。
真は、父親にばれると止めさせられるので、父親に内緒で準備を進めます。
真がイスのデザインをし、梨々がその模型(モデル)を作るのですが、ある時、二人はけんかをしてしまいます。
真はじいちゃんの話を聞きながら、自分の中に、デザイナーが上で、モデラーが下という意識があったことに気づきました。
じいちゃんは言います。
おまえ、さっき、一〇五度にしたいって言ってたな。いい角度だ。軽く寄りかかるのにいいあんばいだ。人間関係だってそうだぞ。そりゃな、九〇度なら一人で立ってられる。けど、人間関係はそれじゃうまくいかねえんだよ。かよいって、ソファや寝椅子みたいにごろっと寄りかかるのも、良くねえ。
真は、自分が梨々に寄りかかっているくせに、一人で立っていると思い違いをしていたこと、そして人間は互いに寄りかかって生きていくものだということを理解します。
父親は、クリエイターの夢を諦めさせようと、真を知り合いの二人のクリエイターと合わせることにします。
真は二人から現実の厳しさを聞き、驚きますが、それでもクリエイターになりたいという思いは変わりませんでした。
試行錯誤を重ねながら、原寸模型(モックアップ)を完成させ、いよいよデザインコンペの結果発表の日を迎えます。
結果は、審査員特別賞。
コンペ始まって以来の最年少ながら、非常に完成度の高いデザインと原寸模型であるというすばらしい評価を受けました。
そして、グランプリを受賞したのは意外にも建築学科の大学生5人でした。
彼らは原寸模型も自分たちで作っていました。
そのイスは一見地味ですが、周りに溶け込み、その環境をそっと美しくしてしまうようなイスでした。
真はその建築学科の大学生達に尊敬を感じ、またイスだけでなく、それが置かれる空間にも興味が出てきて、彼らと同じTK大学で建築を勉強したいと思うようになります。
真は今まで「夢のためにあとちょっとのガマン」と思って勉強してきましたが、夢のために勉強をしようと決心するのです。
読書感想文の書き方
一般的な読書感想文の書き方
それではまず、「一〇五度」だけでなく、一般的な読書感想文の書き方について説明しますね。
読書感想文は、以下のようなことに気をつけて書けばいいです。
1 メモをしながら読み進める
読書をしながら、思ったことや印象に残ったところを簡単にメモしていきましょう。
またはその部分に付箋を貼りながら読み進めると後で便利です。
2 構成を考える
いきなり書き始めるのではなく、まず構成を考えましょう。
構成は次のようにしたらいいと思います。
(1)はじめに
・この本との出会いや選んだ理由
・一番印象に残ったこと など
(2)あらすじ
(3)感想
・印象に残ったところや言葉
・自分と重なったところや自分ならこうすると思ったところ
・疑問点 など
(4)おわりに
・この本を読んで自分の考えが変わったこと
・これからどう生きていきたいか など
詳しくはこちらに書いていますので、読んでくださいね。
https://flowerlove.jp/dokusyokansoubun-kotu
「一〇五度」の読書感想文の書き方
それでは「一〇五度」の読書感想文の書き方を考えてみましょう。
だいたいの構成は上のようにすればいいですね。
「(2)あらすじ」の部分はこの記事の「あらすじ」のところを参考に、あまり長くならないように自分のことばでまとめましょう。
中心となる「(3)感想」は自分が書きたいことから書きましょう。
ここはただ人真似をする訳にはいきませんね。
でも、考えやすいように、この本の中にあるポイントをあげてみますね。
○個性はいじめの対象になりやすい
前半はあまり強く心を動かされる場面はないかもしれませんが、真は今まで、友達からはずされないように、流行の音楽や映画のことなど、好きでもないのに適当に話を合わせて来たと書いてあります。
それに反して、梨々は周りからどう思われるかを気にせずに自分らしく生きているので、周りから変な目で見られています。
皆さんはどうですか?
皆さんの学校ではそんなことはないでしょうか?
○職業に対する価値観
真は梨々とけんかしたことによって、自分の中にいわゆるホワイトカラーと呼ばれるデスクワークが体を動かしてものを作る仕事より上だという意識があったことに気づきます。
「職業に貴賎はない」と言いながらも、その考え方は世の中に根強く残っていますね。
○人間は支え合って生きている
梨々とけんかした後のじいちゃんの言葉がとても心に残ったという人も多いことでしょう。
ここら辺から、共感したり考えたりするところが多くなって来たのではないでしょうか。
○父親との関係
「オヤジは僕のことなんて分かってくれない。僕を自分の思い通りにしようとしている。」と真は思っています。
そして父親が怖いから、夢を叶えるために我慢して勉強しようとしています。
皆さんはそんなことはないですか?
真はオヤジは分からず屋だと思い込んでいますが、本当にそうなのでしょうか?
知り合いに頼んで、経験を話してもらおうとするなんて、すごく息子のことを考えていますよね?
本の中では、父親の本音は語られていませんが、父親の今までのことや子供への思いを聞いてみたいものです。
○兄弟への思い
真の弟、力は体が弱く、無理をするとすぐに熱が出るので、両親は「生きているだけでいい。」と思い、何も要求しません。
その分、親の期待は全部、真にかかっています。
真はそのことがとても嫌で、弟のことを好きになれませんでした。
でも、後半、真は力に毎日勉強を教えるようになり、力の持っている才能にも気づいていきます。
皆さんは兄弟と比較されたり、兄弟に嫌な思いを持ったりしたことはないですか?
○自分の進路について考えてみよう
「一〇五度」の作者、佐藤まどかさんはあとがきの中で、こう言われています。
今はまだやりたいことが見つかっていなくても、きっと見つかるはずです。十年、二十年後には、現時点では想像すらできない仕事をしているかもしれませんね。大事なのは、自分の気持ちを大切にし、一歩踏み出して「向かっていく」意思だと思います。みなさんが、本当にやりたいことを、いつか見つけられますように。
皆さんは、この本を読んで、自分の進路について少し考えてみましたか?
私は自分で考えて、6つのポイントをあげてみました。
皆さんにはまた別のポイントが見つかったかも知れません。
これらのポイントの中で、自分が一番考えたいことを中心に、読書感想文を書いていきましょうね。
佐藤まどかの小説も紹介
小説「一〇五度」の作者は佐藤まどかさんと言われ、もともとプロダクトデザイナーです。
プロダクトデザイナーとは、時計や家電や家具など、身の回りの工業製品のデザインを行う人のことです。
ですから、この小説には佐藤まどかさんのプロダクトデザイナーとしての豊富な経験と知識が詰め込んであります。
そして、若い皆さんがこれからの自分の道を考える手助けになったらという佐藤さんの思いが込められています。
佐藤まどかさんは作家でもあり、主に児童書を書いておられます。
そこには、子供達に希望を持って生きていって欲しいという願いが込められています。
最初はご自分の娘さんのために書き始められたのだそうです。
そんな佐藤まどかさんのおすすめの小説をいくつか紹介しますね。
水色の足ひれ
佐藤まどかさんの作家としてのデビュー作です。
僕は夏休みに海水浴に来ますが、買ってもらったばかりの足ひれを片方なくしてしまいます。足ひれを探していると、片足しかない少年に出会いますが、その子の足に探していた足ひれが。
体のことや肌の色、それぞれ違っていても、誰とでも自然に接っして欲しいという願いが伝わる本です。
リジェクション 心臓と死体と時速200km
イタリア人の16歳の少女は事故で死にかけ、心臓移植を受けます。以来、自分が変わってしまったような・・・。
いつ拒絶反応(リジェクション)が起こるか分からない中、旅に出るのですが、そこで死体に遭遇。
サスペンスっぽいですが、思春期の心の動きが描写されています。
中高生におすすめです。
実は佐藤まどかさんはイタリアに住んでおられるのですよ。
ぼくのネコがロボットになった
大切な飼いネコが病気で死にそうになります。
ネコの命を救うために、ロボットの開発エンジニアであるお父さんとお母さんはネコをロボットにしてくれました。
しかも話ができるんです。
でも、乱暴な口をきいて、ぼくは悲しい気持ちに。
人間とペットの関係や生と死について考えさせられる一冊です。
コケシちゃん
スイスからやってきた体験入学生は、まるでコケシのような純日本風の女の子。
見かけは日本人だけど、スイスで育った彼女は堂々と自分の考えを言い、周りに合わせたりしません。
クラスの子達と彼女は、共に過ごす中で、少しずつお互いを理解していきます。
小学4年生のお話ですが、中学生が読んでも、しっかり考えさせられる本です。
まとめ
今回は「一〇五度」のあらすじと読書感想文の書き方、そして佐藤まどかさんの小説についてご紹介しました。
いかがでしたか?
これから読書感想文を書こうとしている中学生の皆さんの役に立ったら嬉しいです。
それでは、宿題を効率よくこなしながらも、せっかくの夏休み、楽しく過ごしてくださいね。