今年ももうすぐ終わり。
またまたお正月がやってきます。
お正月に飲むお屠蘇は甘くってとろっとしてますね。
そのお屠蘇のことでびっくり仰天の事実が!
赤酒って熊本にしかないって知ってた?
えっ?赤酒?あの、お屠蘇にする赤酒?
うん、そう。あれって熊本だけのお酒だって。
えーっ?!うそー!じゃあ、他の県にはお屠蘇がないの?
いや、そうじゃなくて、赤酒がないの。お屠蘇は他ので作るんだよ。
熊本生まれ、熊本育ちの私は知らなかった・・・。
赤酒が熊本にしかないということを。
お屠蘇=赤酒と思っていた!!
半世紀以上も生きてきて、初めて知ったこの事実にショックを隠せませんでした。
これ読んでおられる熊本以外の皆さん、赤酒、ご存じないんですね・・・?
今回は熊本の赤酒について、お屠蘇や煮魚などのお料理への使い方もお伝えしますね。
赤酒とは?
赤酒は熊本の地酒で、醸造したもろみに灰を入れる「灰持酒(あくもちざけ)」の一種です。
一般の清酒は加熱することで保存性を高めるのですが、赤酒は木炭を入れることで、酸を中和し保存性を高めます。
また木炭を入れることで芳香がするようになり、糖分やアミノ酸が反応して赤みがかった色になります。
赤酒は、熊本では江戸時代から、冠婚葬祭の際は必ず飲まれていました。
加藤清正が熊本の名産として、豊臣家に赤酒を献上したという記録もあります。
しかし、清酒と比べると、同じ量の米から作れる量が少ないために、第2次世界大戦中、生産中止に追い込まれました。
それでも、「お正月や節目の時は、やはり赤酒でないと。」という神社や県民の声があり、戦後、再び生産されるようになりました。
現在、赤酒を生産している蔵元は瑞鷹と千代の園酒造の2つだけです。
赤酒をお屠蘇にするのは熊本だけ
こういうことで、熊本では現在も、赤酒をお屠蘇として使っています。
熊本では、年末になると、各商店やスーパーに赤酒がたくさん並んでいて、瓶の細いところに屠蘇散の袋がかけてあります。
屠蘇散とは漢方に用いられる植物を粉にして混ぜたもので、全国的にも清酒やみりんなどと混ぜてお屠蘇を作るようですね。
赤酒に付いている屠蘇散は、赤酒の風味に合うように特別にブレンドしたものだそうです。
大晦日の夜に赤酒に屠蘇散を浸し、好みに合わせて引き上げて、元日のお屠蘇を準備します。
赤酒はみりんの代用としても使える!
赤酒はみりんの代用としても使うことができます。
熊本では、煮物やお汁ものなどに、みりんの代用として赤酒を使う家庭が今でもたくさんあります。
私や夫の実家でもそうでした。
赤酒を使って料理すると、照りとつやがあり、程よい甘さがあります。
赤酒がみりんと違うところは、赤酒は清酒と同様、発酵と糖化が行われるということです。
それで、糖分とアルコール、アミノ酸が一体となって甘味と旨味が生まれます。
また微アルカリ性なのでたんぱく質が固まらずに、お肉や魚料理をふっくらとした仕上げることができます。
料理用の赤酒もあるのですが、お正月にお屠蘇に使った赤酒が余るので、熊本ではその赤酒を、あとはみりんの代用として料理に使っています。
熊本の多くの庶民は、理屈は分からないけど、「なんさま」(とにかくという熊本弁 笑)みりんの代用として赤酒を使った方が、味も見た目も満足できるのでそうしてきたんだと思います。
赤酒を使った煮魚の美味しい作り方
赤酒というと、昨年亡くなった夫の父を思い出します。
毎年、大晦日には夫の実家に行って、おそばやお料理を食べるのが習わしでしたが、父がぶりをさばき、刺身と煮魚を作ってくれていました。
「赤酒ば入れとるけんね、艶々でやわか(柔らかい)もんね。ついでに砂糖の代わりに蜂蜜ば入れたけん。ははは!」
そう言って出してくれる煮魚はとても美味しかったです。
おそばにも、翌朝食べるお雑煮にも赤酒が入っていました。
それでは、赤酒を使った美味しい煮魚の作り方を紹介しておきますね。
①魚のうろこを取り、下ごしらえをします。
②さっと下ゆでします。米の研ぎ汁があれば、それを使いましょう。
③鍋に水、こいくち醤油、赤酒、砂糖を入れて煮ます。清酒を少し入れてもいいです。
醤油と赤酒は同量です。
水はひたひたくらいにして、落とし蓋をしましょう。
④好みで木の芽や針しょうがを乗せます。
これで出来上がり。
身の柔らかい、美味しい煮魚が出来上がりますよ。
まとめ
今回は、熊本の地酒である赤酒について、また赤酒を使った美味しい煮魚の作り方についてもお伝えしました。
赤酒は今、料理酒として全国の料亭などで使われるようになったそうです。
皆さんも一度、赤酒を使ってみられませんか?