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おらおらでひとりいぐも(芥川賞)のあらすじやネタバレについて!感想や意味も解説!

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夜、第158回芥川賞・直木賞の発表がありました。

芥川賞には石井遊佳さんの「百年泥」と若竹千佐子さんの「おらおらでひとりいぐも」の2作が、直木賞には門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」が選ばれました。

私は、同世代の女性として、特に若竹千佐子さんを応援していたので本当に嬉しいです。

「おらおらでひとりいぐも」は若竹千佐子さん63歳にして、初めて世に出した作品です。

若竹千佐子さんについてはこちらの記事をお読みください。

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それでは受賞作「おらおらでひとりいぐも」のあらすじやネタバレ、感想や意味についてまとめていきます。

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「おらおらでひとりいぐも」のあらすじやネタバレについて

 

「あいやあ、おらの頭このごろ、なんぼがおがしくなってきたんでねべが」

いきなりこの一文で始まります。

これは主人公桃子さんの脳内の声です。

桃子さんは夫に先立たれ、二人の子供達も独り立ちし、去年16年間一緒に住んだ犬にも死なれて、家族で住んでいた家に一人暮らしている74歳のおばあさんです。

桃子さんは東北に生まれ育ち、若い頃に上京して夫になる周造と出会い、家庭を持ちます。

東京生活のほうが長いので、日常の会話も一人で思考する時も標準語になっていたのですが、ある日突然、堰を切ったように東北弁が体の中から湧き上がるのです。

そして回想と現実の思考を繰り返します。

桃子さんには疎遠になっていた娘、直美がいますが、最近は直美が心配の電話をくれたり、必要な物を買ってきてくれたりします。

それに孫のさやかも連れて来てくれたので、桃子さんは嬉しくてたまりません。

桃子さんは、自分のせいで、いい母子関係を築けなかったことを直美に謝りたいのですが、なかなか伝えることができません。

そんな時、電話口で、直美にお金を貸してと言われ、即答できずに、「母さんはわたしのことなんか・・・」と言い残し、直美は電話を切ってしまうのです。

ある時は人恋しさに病院に行き、しかし、期待していたように人と会話することもできず、帰りに一人で行きつけの喫茶店でソーダ水を飲みます。

ソーダ水を飲みながら、また頭の中の東北弁が炸裂し、回想と思考を繰り返します。

そう、桃子さんは一人の世界では饒舌ですが、人と話すのは苦手なのです。

桃子さんの中の何人もの桃子さんが東北弁でしゃべりまくります。

夫と子供のために尽くしてきた自分の人生、最愛の夫を亡くした悲しみ、夫を慕う切ない思い・・・。その時、突如別の桃子さんの鋭い突っ込みが。

「おらは半分しか生きでないと言ったの忘れだが」

そして葛藤の末に自分の生を肯定し、年を取ることを肯定する桃子さんがいるのです。

「おらはおらの人生を引き受ける。」と。



「おらおらでひとりいぐも」の感想を紹介

東北弁で語り、思考する桃子さんの頭と心は、まさに若竹さんそのもの。74歳の姿はこれからの若竹千佐子さんであり、私達です。

私は一つ一つの文章に潜むエレルギーとユーモアに引き込まれました。その元気で軽快な東北弁に笑ったり泣いたりしながら、他ではない「自分」を生きることの大切さに気づかされました。

それでは、この本を読んだ方達の感想をいくつか紹介しておきますね。

・ばあちゃんのことを思い出して胸が締め付けられた。

・老いてからのデビューだという作者だからこそ出せる味だ。

・愛する人を見送り、残された自分を誰が見送ってくれるのか。直面しながらも避けてきたその思いややるせなさが、一気に言葉と共に押し寄せてくる。心が震える。

・冒頭から難解な方言連発で、最後まで読み切れるか不安になったが、ト書き部分は標準語だったので問題はなかった。

・老境とはこういうことかと考えさせられた。

・切なく昔のことを思い出すことがあっても、自分もこんな風に淡々と生きていきたい。

「おらおらでひとりいぐも」の意味は?

題名の「おらおらでひとりいぐも」というのは、東北出身の偉大な作家、宮沢賢治の「永訣の朝」という詩の中に出てくることばです。

「永訣の朝」は雪の降る朝に病気で亡くなっていく愛する妹への思いを謳った詩で、心打たれる内容です。

そこには「Ora Orade Shitori egumo」とローマ字で書かれています。

これは「(愛する者を失っても、)自分は自分で一人生きていく!」という決意のことばです。

同じ東北出身の宮沢賢治と若竹千佐子さんに共通する静かさと強さを感じます。



「おらおらでひとりいぐも」のあらすじやネタバレまとめ

「おらおらでひとりいぐも」、いかがでしたか?

昨夜の記者会見で、最初は緊張しておられる様子がとてもかわいかった若竹さん。

今の気持ちを聞かれ、「千佐子、いがったな!」と自分の中の父親のような声が聞こえるとおっしゃっていました。

ご主人のことを尋ねられると、少し涙ぐんで「私やったよ!」と天国のご主人に語りかけられた姿がとても印象的でした。

最後に「老いを生きるとはどういうことか、(実際の自分と)同時進行で小説を書いていきたい。」と語られました。

これからも若竹さんを応援していきます。

次の作品が楽しみです。



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