銀河鉄道の父(直木賞作品)のあらすじやネタバレを解説!感想や書評も紹介!

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あ、涙が止まらない!

4日前の1月16日に第158回直木賞を受賞した門井慶喜さんの「銀河鉄道の父」です。

「すばらしかったなす。」

あっ、あまりにこの物語に浸っていたので、私の心の声も東北弁っぽくなっています。

皆さん、読まれましたか?

読まれてない方はぜひお読みください。

でも、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」や「永訣の朝」を読まれたことがないなら、まずそれを読んでからの方が深い感動が伝わると思います。

それでは「銀河鉄道の父」のあらすじや感想などについてお伝えしていきます。

著者の門井慶喜さんについてはこちらをご覧ください。

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銀河鉄道の父のあらすじやネタバレ

これは宮沢賢治の父、政次郎の視点から賢治を描いた物語です。

そこに描かれているのは「雨ニモマケズ」から想像する「聖人」ではなく、悪いこともする「人間」宮沢賢治です。

宮沢賢治は岩手の大きな質屋の長男として生まれました。

その父政次郎は厳格な父親であり、浄土真宗の熱心な信者です。

賢治の下にはあと4人の子が生まれます。

そして母イチは夫の世話と子供たちの世話を一手に引き受ける働き者です。

政次郎は「家長たるもの、つねに威厳を保ち、笑顔を見せず、嫌われ者たるを引き受けなければならぬ。」と思っているのですが、実は相当な子煩悩で、幼い頃、賢治が赤痢で入院した時はつきっきりで看病し、夜はわらべ歌を歌って寝かせてやります。

 

賢治は小学校に入学すると、成績は優秀なのですが、悪友たちと遊び回り、川辺で火事を起こして逃げ出す始末です。夕食時に「(犯人は)お前か」と父に聞かれても「知らねす」と即答する程の悪ガキになっていました。

しかし父政次郎は、こんな小さなことで賢治の未来に傷をつけることはできないと、賢治を不問に付す親バカでした。

その後賢治は、妹のトシと石集めに没頭し、周りから「石っこ賢さん」と呼ばれるようになります。

そして小学校を卒業し、中学校に進学します。

祖父は「質屋に学問は必要ない。」と進学に反対するのですが、政次郎は祖父を制して進学を許可するのでした。

 

19歳になった賢治は法華経に入信し、「心ある者は、農民の苦しみの側に立たねばならぬ」などと言うようになりました。

そして鉱物学をやりたいと盛岡高等農林学校に入学します。

賢治は、卒業後はドロップの工場を作りたいとか人造宝石を作るとか夢のようなことを語り、政次郎を呆れさせます。

しかし農学校の教員の道が開かれ、熱心に生徒を教える一方、童話を書くことにも力を入れます。

 

最愛の妹トシが病の床に伏している時は自分の書いた童話を読んで聞かせました。

いよいよこの妹トシの臨終の場面、遺言の言葉を書きとろうとする父を突き飛ばし、法華経のお題目を唱え続けるのでした。

このトシの臨終の場面が、有名な詩「永訣の朝」です。

しかし、「永訣の朝」にある「うまれでくるたて こんどはこたにわりやのごとばかりで くるしまなあよにうまれてくる(また生まれるなら、今度はこんなに自分のことで苦しまないように生まれてくる)」というトシのことばは賢治の創作だと政次郎は気づきます。

トシは最後の力を振り絞って遺言を残そうとした時に賢治に妨害されたのですから。

 

賢治は父の期待をことごとく裏切り、作家になろうとしますが、子煩悩の政次郎は、やはり賢治を応援します。

賢治の詩が新聞に載ると、その新聞を100部も買い占め、近所に配って回るのです。

その賢治が病に伏し、政次郎は必死に看病します。幼い頃のように、胸をとんとんと叩きながらわらべ歌を歌ってやります。

しかし看病の甲斐なく、賢治は天上のトシのもとに行ってしまいます。

政次郎は、生前の賢治との約束を果たし、日本語訳の妙法蓮華経を1千部作るのでした。

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感想を紹介!

「聖人のようだ。」と勝手に思い込んでいた宮沢賢治像が崩れ、失敗したり、反抗したり、親に金の無心をしたりする人間味溢れる宮沢賢治がそこに生きていました。

父政次郎は、家を守り、厳格であろうとするのですが、あまりに子煩悩で正直者。権威を保ちながらも内心悩んだり、子供の目を伺ったりする姿は時に笑いを誘います。

作者門井慶喜さんもまた、子供に優しい正直なお父さんなのだろうと思います。

同時に、親の期待に反し、作家の道に進まれた自分と賢治を重ね、ご自分のお父さんを見つめ直されたのではないでしょうか。

私はトシの臨終の場面では、涙が止まらなくなりました。

「永訣の朝」を初めて読んだ時、とても感動したのですが、その詩とこの場面が重なり、あまりにも鮮やかに情景が浮かび上がります。

その後、少し西洋の風を感じた政次郎が、妻を人力車に乗せるところではげらげらと笑ってしまいました。さっきあんなに泣いたのにと自分で思いながら。

人の死に触れながらも、暗いだけでなく明るい光を感じることのできる小説です。

父政次郎と子賢治、二人は対立しながらも尊敬しあっているのが伝わりました。生きる道は違っても、互いに尊敬しながら自分の道を進む。本当はそんな二人ではなかったのでしょうか。

賢治を亡くした後も賢治の意思を継ごうとする、この父があってこそ、あの偉大な作家、宮沢賢治は生まれたのだと思いました。

書評も紹介!

それでは、いろいろな新聞に載せられた書評をいくつかピックアップして紹介します。

・父の視点から描くという構造により、生き生きとした等身大の賢治像が出現した。

・ここでの賢治はズバリ「困った息子」。そのおかしさと、父の深い愛情がリズムよく綴られ、一気に読ませる。

・「子育て小説」と言える。

・全体を通しての印象はかなり地味なので、読む人を選ぶ作品だと思う。宮沢賢治が好きな人にはぜひ読んでいただきたいが、そうでない人には少し退屈かも知れない。

・東日本大震災による心の傷から、宮沢賢治の作品に今まで以上の親しみを感じる。改めて彼を知りたいと思う人に読んで欲しい作品である。

まとめ

「銀河鉄道の父」、いかがでしたか?

直木賞発表後の記者会見に現れた門井慶喜さんは、とても明るく優しそうな方でした。

お父さんについて聞かれた時、「父は会社を経営。自分は長男。自分に期待していたかなあと今になって思う。今更だけど、父には謝りたい。」とおっしゃっていました。

「慶喜」というお名前は、歴史がお好きだったお父さんがつけられたのだそうです。

お二人の道は違っても、門井慶喜さんのうちにはしっかりとお父さんが大事にされてきたものが受け継がれているのだと思いました。

それにしても、今回の芥川賞の若竹千佐子さんと直木賞の門井慶喜さん、偶然にも東北の宮沢賢治でつながっています。

若竹千佐子さんの受賞作の題名でもある「おらおらでひとりいぐも」は、二つの作品に共通した「自分を生きる」というテーマではないでしょうか。

若竹千佐子さんと作品「おらおらでひとりいぐも」についてはこちらをどうぞ。

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