もうすぐ、今年のノーベル賞が発表されますが、医学・生理学賞ではカタリン・カリコ博士が最も注目されています。
カタリン・カリコ博士は新型コロナワクチンの開発に大きく貢献した方なので当然ですよね。
今回は、そんなカタリン・カリコ博士のプロフィールと経歴、夫と娘についてお伝えします。
カタリンカリコ博士のwikiプロフィールと経歴
まず、カタリン・カリコ博士のwikiプロフィールと経歴を見ていきましょう。
プロフィール
カタリン・カリコ博士のプロフィールは以下のとおりです。
生年月日 1955年1月17日
年齢 66歳
出身 ハンガリー・ソルノク県
国籍 ハンガリー・アメリカ(二重国籍)
1978年 国立ヨージェフ・アティッラ大学(現在の国立セゲド大学)を卒業
1983年 博士号を取得
1985年 アメリカに移住
2020年 公共メディア年間人物賞を受賞
同年 ローゼンスティール賞を受賞
同年 キシュウーイサーッラーシュ市名誉市民に
2021年 アストゥリアス皇太子賞学術・技術研究部門を受賞
同年 ハンガリー精神賞を受賞
2021年 人間の尊厳賞を受賞
同年 慶應医学賞を受賞
同年 ラスカー・ドゥベーキー臨床医学研究賞を受賞
同年 セゲド大学名誉博士に
2022年 生命科学ブレイクスルー賞
経歴
カタリン・カリコ博士のもう少し詳しい経歴も見ていきましょう。
カタリン・カリコ博士は1955年1月17日に、ハンガリーのソルノク市に生まれました。
カタリン・カリコ博士の父親は精肉業、母親は事務員をしていましたが、経済的にはとても苦しかったようです。
カリコ博士が育ったのは小さな田舎町で自然豊かなところでした。
カリコ博士は生き物が大好きな子供で、よく木に登って鳥の巣を見ていたりしていたそうです。
また、小さい頃から大変優秀で、国立モーリツ・ジグモンド高校時代は、第1回イェルミ・グスターヴ賞を受賞しています。
この賞は生物学で最優秀の生徒に与えられるものです。
この高校のある先生との出会いが、カリコ博士のその後の進路を決めるきっかけとなりました。
そして将来は科学者になる決心をして、1973年、国立ヨージェフ・アティッラ大学(現在の国立セゲド大学)に入学します。
この大学は世界でもトップクラスの大学です。
1978年に大学を卒業すると、ハンガリー科学アカデミー付属セゲド生物学センターでRNA(リボ核酸)の研究を続け、1983年には博士号を取得することができました。
カリコ博士の家庭は、前述したように裕福ではなかったので、カリコ博士は、高校、大学そして生物学センター時代も奨学金を受けながらがんばりました。
しかし突然、ハンガリー政府からの研究資金が打ち切られることになりました。
それでカリコ博士はアメリカに渡ることを決意します。
当時、カリコ博士には夫と2歳の娘がいました。
2歳の娘を連れてアメリカに移住するなんて、とても大変なことだったでしょうね。
しかも当時、ハンガリーはアメリカへの通貨の持ち出しを制限していました。
しかし、誰も頼る人のいないアメリカに行くカリコ一家は、当面の生活費を持って行く必要があります。
そこでカリコ博士は、娘さんが大事にしているクマのぬいぐるみのテディベアの中に、全財産の900ポンドを詰め込みました。
下は、NHK「クローズアップ現代+」でカタリン・カリコ博士と山中伸弥教授の対談が実現した時の、カリコ博士の言葉です。
仕事を辞めてアメリカに行くのは、怖かったです。片道切符ですから。クレジットカードも携帯電話もなく、何があっても成功すると信じる以外に道はありませんでした
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そうやって、無事アメリカでの生活を始め、カリコ博士はペンシルベニア州のテンプル大学、その後はペンシルベニア大学でmRNAの研究に打ち込みました。
mRNAとは、メッセンジャーRNAとも言われ、これがあることで体の中で有用なタンパク質を作ることができ、RNA(リボ核酸)を医薬品として使うことができるようになりました。
カリコ博士達の研究のおかげで、mRNAワクチンが開発され、今、私たちは新型コロナワクチンを打つことができるようになったのです。
すごいことですね!
それなのに、カリコ博士の研究は評価されず、大学はmRNAの関連特許を企業に売ってしまったのだそうです。
カリコ博士の研究は挫折してしまうのですが、そんな時、彼女の研究に着目したのが、ドイツのビオンテックでした。
2011年、ビオンテックは、カリコ博士をドイツに招き、研究を続けることができるようにしました。
2020年3月、ビオンテックはアメリカの製薬大手ファイザーとmRNAを用いた新型コロナウイルスワクチンの開発を開始すると発表しました。
そしてモデルナ社もカリコ博士の研究に基づいたワクチンを作りました。
カリコ博士がたくさんの苦難に屈せず、研究を続けたおかげで、今、全世界の人々が多大なる恩恵を受けているということですね。
カタリンカリコ博士の夫と娘について
それでは、カタリン・カリコ博士の夫と娘についてもお伝えしますね。
カタリン・カリコ博士の夫はベーラ・フランツィアさんと言われ、エンジニアをされています。
娘さんはジュジャンナさんと言われ、1982年生まれです。
この一人娘、ジュジャンナさんは何と、ボート競技でアメリカの金メダリストなんです。
すごいですね!
やはり不屈の精神を持っておられるカタリン・カリコ博士の娘さんですね!
カタリン・カリコ博士の愛読書について
カタリン・カリコ博士は「クローズアップ現代+」で、こう語られています。
どうにもできないことに時間を無駄にするな。できること、変えられることに集中しろと、愛読書に書いてあります。私はいつも自分が何をできるのかに立ち返りました。めげずに熱意を持ち、良い仕事を続けるしかないのです
エラー - NHK
では、カタリン・カリコ博士の愛読書とは何なのでしょうか?
前述した高校で出会った先生が、カリコ博士に「Életünk és a stress」という本をくださったのだそうです。
この本は生理学者、ハンス・セリエという人が書いたものでハンガリー語で書かれています。
この本は英訳も日本語訳もありませんが、カタリン・カリコ博士はこの本から自分の望まない試練が来ても屈することなく、自分のやるべきことに集中する秘訣を学んだのだそうです。
素晴らしいことですね!
高校時代の先生がくれた本を何度も読み、それに励まされて自分の目標を見失わなかったカタリン・カリコ博士の精神は本当に素晴らしいし、この本をくれた先生は、きっとカリコ博士の可能性を見抜いておられたのではと思います。
カタリン・カリコ博士はこうも語っておられます。
私の人生で最も誇れるのは、ハンガリーにいたときから変わらなかったことです。好奇心と熱意を持つ謙虚な科学者でいたことです。自分がワクチンを打っているとき、私を相手にしてくれなかった人たちを思い出しました。でも、幸運だったと思います。彼らがいなかったら、ここまでたどりつけず、今回のワクチンもできなかったかもしれません。「もっといい実験をしたい。効果を証明したい」と思ったことで研究が進み、科学が進歩したのです
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